前半(プレゼンター:富塚)
1 シャーロット・セルヴァーの手紙に対する伊東博先生の言葉(1986年)を改めて紹介
*チャールズ・ブルックス著、伊東博訳『センサリー・アウェアネス』の「訳者あとがき」より
「シャーロットの願いがひしひしと心にひびいてまいります。生涯その方向(人間のまさに自然であるところを覆い隠しているカバーを取りのけて)に成長を続けていきたいと思っております。とても励まされております。」
⇒私たち人現会の学友は、この伊東先生の心願を受け継いでいるのではないだろうか。
2 没後20年のシャーロット・セルヴァー(1909-2002)が100歳の時の動画『Being More Substantial』の言葉(伊藤稔訳)を抜粋し、気になったことを話題にした。
・「自分自身がいつでも身の回りの世界、他者や大自然(環境)の在りように気づいていること」 ⇒つながっている、一つのものである(不二である)、一如である、ということではないだろうか。
・SAで使われている言葉「与えること・受け取ること」について
⇒「“いのち”の呼応」「“いのち”の能照」(森信三の言葉)「“いのち”が生かされ生かし合っている」といった表現で受け止めている。
・「人類がさまざまな文化に分かれる以前の基本的な人間の属性を勉強する。」
⇒無分別、宇宙的無意識(鈴木大拙の言葉)を相手にする、ということではないだろうか。
・「豊かな感受性と静かな情動の率直さのなかで、非常に直接的で深い人間の出会いが起こる。」 ⇒人の中心である「情緒をみる」(岡潔の言葉)ということではないだろうか。
・「まさに自分の行動はどうであるかを感じ始めている。」
⇒どのようにやっているか(動いているか)の過程を内観することで生じる気づきを大事にすることであり、意識的生命をはたらかせて生きる(鈴木大拙の言葉)ということではないだろうか。
・「自分が何かをしている時に、自分自身が全身全霊で学んでいる(感じている)ことが大事である。」 ⇒やっていることと一つになる、身心一如になるということではないだろうか。
・私たちを支えている地球そのものとのかかわり
⇒「大地」への身体的・感覚的な気づき、という理解をしている。
後半(実習 世話人:伊藤稔)
R5.8.6に「センサリー・アウェアネス財団」が実施した実習(世話人:サラ先生)「ただ椅子にすわること」を基にした実習の体験
(参加者の感想)
・行住坐臥を探求していくと、もっと深い気づきがあるのではないか。
・実習を通して、身体に負荷がかかっていることに気づき、疲れを感じた。
・坐って立ち、また坐ると、座高が伸びた感じがした。動いたり試したりした時に力が入っていることに気づいた。
・前に傾いて坐ったり後ろに傾いて坐ったりした後、一番安全で楽なところに戻ってきた感じがした。
・はじめはソファーに座り、その後で普通の椅子に座った。椅子に座った方が「坐ること」をもっと探求できると思った。
(参考)「センサリー・アウェアネス財団」のステファン先生が使用されている椅子は、縦幅が10㎝、横幅が30㎝くらいの背もたれのないシンプルなものである。
・猫背になった背骨を治そうとしたところ痛みが生じ、変形したところを治そうとするのを止めたら痛みが止まった。
・アレクサンダー・テクニークでは「上に伸びる」と声かけをするが、それは「おのずからそうなる」ということと矛盾しているのではないだろうか。
・坐っているより立っている方が楽なことに気がついた。坐っていると、あちらこちら圧迫されていることにも気づいた。
・実習を通して、おのずから身心一如に調っていく“いのち”を感じる。
○生来の「“いのち”のハタラキ」がおのずから発現していくような健全な動き方、おのずからそうであるところ(方向)に従っていく行住坐臥を探求し、気づきを深めていくことが、これ迄も今後も私たちの課題であると考えています。
(その他の意見や感想)
・100歳のシャーロット・セルヴァーが「センサリー・アウェアネス」について、これほど明瞭に話されていることに実に驚かされる。
・NHK『ヒューマニエンス40億年のたくらみ“背骨”複雑精妙な進化の神髄』を視聴したが、背骨の働きについて、改めて知ることができて面白かった。
・「センサリー・アウェアネス財団」はどのような活動をされているのか。
・シャーロット・セルヴァーが美しいと話しているサンタバーバラは、どのようなところか。
・「センサリー・アウェアネス」には、忍耐強い学習が重要である。
(オンライン参加者 8名)
【次回の予定】
令和5年11月26日(日)14:00~16:00
ZOOMで実施
内容:シャーロット・セルヴァー100歳の時の動画で語られた言葉を原文で読み合う
(センサリー・アウェアネス財団You-tube動画『Being More Substantial』より)